樹液を与える木
ガッタパーチャは天然ゴムに非常に似ています。天然のポリテルペンあるいはポリイソプレンは、主にマレーシアやインドネシアの熱帯雨林に生育するガッタペルカの木(isonandra gutta)から採取されます。ガッタは「ゴム」を、パーチャは「木」を意味するマレー語が語源です。乳白色の樹液(ラテックス)は通常、樹の幹に切り込みを入れると染み出てきます。他にも特定の溶剤を用いて葉や枝から抽出する方法もあります。
1843年、スコットランド人のウィリアム・モンゴメリー博士がシンガポールで興味深い原料と出会い、すぐにその有用性を見い出しました。博士がサンプルを英国に持ち帰えった直後からヨーロッパに大量輸入が始まりました。ラテックスを作りだすこの木は、プランテーション栽培により絶滅の危機を免れることができました。19世半ばにはゴルフボール、アクセサリー、インテリア小物などの原料として人気があり、また絶縁性の高さからガッタパーチャは電線の被覆材としても長年使用されました。
ガッタパーチャは1847年に歯科治療に用いられ、アメリカで始めて、それまでの溶かした鉛に代わる充填材として使用されました。また試験的に他の分野でも使用されるようになりました。現在の主な用途は2つで、ガッタパーチャスティックの根管充填、そしてシーリングガッタパーチャの窩洞仮封です。
ガッタパーチャには非常に優れた絶縁性、高い生体適合性そして臨床的に実証された抗菌作用(表面に細菌が付着しにくい)があります。
スティック状の材料は使用前に加熱します。50度近くで軟化してこねることができるようになり、その状態で窩洞の中に入れることができます。取り除く際には、掘り出すことなくインスツルメントで素早く取り出せます。
Hoffmann’s ガッタパーチャスティックの成分は天然ガッタパーチャ、酸化亜鉛、蜜蝋です。Hoffmann’s製品に使用しているジャバ産の白色ガッタパーチャは、特に純度の高さに定評があります。材料の弾力性を保つためにHoffmann’s ガッタパーチャは再び密封できるチューブ入りタイプの販売となっています。